東京03人気コント『夢破れて』より

 夢破れて

20年という長い年月を漫画家のアシスタントとして働き、連載を夢見ていたもののそれが叶わないと帰郷を選んだ角田さん。

同じアシスタントとして活躍する飯塚さんや豊本さんも、駅のホームまで見送りに来てくれた。

しかしながら、電車が事故でなかなか来ない。

三人はベンチに腰掛けて、別れの時間になるまで、同じくアシスタントとして過ごした日々を思い出す。

ふと、テンションが上がった角田さんが立ち上がり、二人の今後の活躍を故郷で祈っていると告げ、さらに感謝の気持ちを語ると鞄を肩に担いで、ホームのスレスレまで歩いていく。

「じゃあな!」

角田さんは、最後の別れの言葉を発した。

「電車、電車で来てないよ」

「嗚呼〜」

ある意味でロマンチックで感極まる角田さんは、アシスタントとして過ごした日々を、24時間漫画だけを考えていたと語る。

それくらい夢を追い、やり切ったからこその帰郷なのだと。

でも、見送る二人はそんな風に思っていなかった。

むしろもっと真面目に向き合っていたなら、夢だって叶ったはずだという。

何より、一時期は女に惚れ込み、連載の持ち込みもしなくなって、それを不満にさえ感じていたくらいだ。

二人からの印象を知り、「良い感じで帰らせろ!」と角田さんは怒ったりもするのだが…。

それでもまだ電車が遅れているようだ。

駅のホームで、わちゃわちゃと騒ぐ三人の様子が、東京03っぽくて好きなコントの一つでもある。

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