このイラストで試したかったこと

 このイラストで試したかったこと

デッサンというと、対処物をどれだけ正確に描き取れるか習得することと思いがちだ。

石膏像の模写ばかりしていると、段々とモノクロスケールに脳が勝手に変換して、「形」ばかりを追ってしまう。

しかし、今回の一枚は「似顔絵」という要素よりも、女性特有の透き通るような肌質をどう描けばいいのかに挑んだものだ。

左頬側面に強い光が当たり、前側に回り込むように影がさす。

例えば拡大すると鼻の形などはかなり不鮮明で、でもしっかりと濃淡が再現されると「鼻」に見えて来る。

つまり、「形」が正確だから「伝わる」のではなく、「濃淡」が正確なら「脳」が勝手に理解してくれるということ。

不安になって描き手が「嘘」を描くくらいなら、しっかりと「見えたまま」を追うことで、本当に伝えたいものが勝手に伝わってくれる。

言ってしまえば、色のついた線を重ねているだけなのに、ある段階から何か意味あるものに見えて来るから楽しい。

「描くこと」は、ある段階からそう変わっていくように思う。

思うに、3ヶ月前の画力ではここまで意味ある描写はできなかっただろう。

もちろん、似顔絵として似ているいないという意味ではなく、今後も描きたいと思う方向性を見据えた時に、「これを描きたかった」にはなっていなかったと思う。

まだまだ手ごたえの段階ではあるけれど、描くことが本当に楽しいし、さらに望んでいるような描写ができるまでになりたい。


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