部長のいい話より
「見たままの情景を描きたい!」という気持ちは、絵を描くことが好きな人であれば、誰もが持っているのではないだろうか。
東京03人気コント『部長のいい話』は、部長役の角田さんがかつての部下である飯塚さんや豊本さんに「いい話」をするネタだ。
「自分一人では何もできない。だから、他人を受け入れる心を持つこと」
そんな感じの「いい話」を今は部下を持つ立場になった彼らに伝える。
でも、お酒も飲んでいたらトイレにも行きたくなるもの。
いい話の直後に彼らは連れ立って席を立ち、角田さんは一人ぼっちになってしまう。
「いい話をした自負がある」
感想や余韻が欲しいタイミングで一人にされると、余計にもの寂しさが強くなってしまう。
描いたのは、そんな場面を迎えた時の角田さんだ。
背中の曲がり具合。
不満気な口元。
身長が多分、170センチから175センチくらいの角田さんだから、そのスケール感も極端過ぎてはいけない。
なぜなら、プロポーションを整え過ぎると、急にリアリティが失われ、例えば今回の描きたい「孤独感」や「もの寂しさ」が薄れてしまう。
「場の雰囲気」をどこまで描けるのかが最近のテーマだから、できる限り感じた印象そのままを再現したかった。
強いて言えば、もう少し背景との距離感やそこにある空気感まで表現できれば良かったけれど、スーツのシワや体の厚みや存在感は、今の画力なら上手く描けた方ではないかと思う。