「理想の線」と「本当の線」と「描いた線」の話

 「線」とは何か?

絵を描く時に、「形」を追って線を引いてしまいます。

例えば、右側載せたイラストは単なる線ですが、見方によっては何か意味あるものにも見えてきます。

トレース(なぞり書き)をしたことがある人なら、境界線を引いているだけなのにそこに作り出された線の集合体が急にリアル情景に見えて驚いたことがあるでしょう。

また、描く人によって現れる「癖」は作風となり、本当の線ではないけれど、それとは異なる意味を持つものへと変化します。


例えば、その下に載せた線の集合体も、「線」と言ってしまえば線でしかありません。

しかし、何か意味や作為を探してみると、自身の経験から呼び出される記憶があります。

ただ、絵を描く上では、明度差を探して線を引こうと思っても、空に浮かぶ「雲」や衣類の「シワ」を描写するのは困難です。

しかも、不慣れなら描きたい線とは異なる線を引き、集合体として確認してもそれは意図したものとは別ものです。

その意味でも、「線」として対象物を観察してもいいのかという疑問に行き着きます。

例えば、最近の話では「線」として描くのは下書きだけで、その後は「面」として考えていることが増えました。


一番下に掲載した男性二人のイラストで、特に右側の人物の顔を「線」として描くのは手間が掛かります。

理論的には「線」でも「面」でも同じ結果ではありますが、描く手間としては「面」として描く方が感覚的に楽に感じます。

今回は「線」という身近なものから、広がって行く創作の世界観を考えてみました。


こちらもオススメ