何十年も遠回りして分かったこと
こみちは十代の頃からほとんど独学で絵を描いてきました。
今にして思えば、高校時代にでも美術部に入っていればもっと違ったのかも知れませんが、選択科目で「美術」を選んだだけで、それ以上は直接的な手ほどきを受けてきませんでした。
だからこそ言えることは、本当に遠回りしたなぁと感じます。
きっと信頼できる先生から指導を受けていれば、少なくとも3年あれば今の「画力」になっていたと思うのです。
一方で、インターネットが普及し、動物でも人物でも参考となる「写真」や「絵」が圧倒的に手に入ることで、練習しやすくなったのも事実でしょう。
数十年前なら、練習するにも素材を見つけるのに苦労したからです。
しかも、どんな風に描けば良いのかも分かりませんでした。
丸や四角形を描く理由
初心者向けの教本を開けば、決まって丸や四角、球体などを見本として描いています。
なぜそんなモチーフ(素材)を選ぶのかと言うと、応用しやすいからです。
右のイラストは青りんごを描いたものです。
りんごは丸みを帯びて立体ですが、描く紙は平らな紙です。
つまり、立体をどう平面に落とし込むかがポイントなのだと分かるでしょう。
だからこそ、初心者向けの教材では丸や四角、球体などをいろいろ描いてもらい、他のモチーフもまた知っている形に置き換えて欲しいのです。
車を描く!
車を描くのは、意外と難しいかも知れません。
1つには車体を無理に捻らないように描くのが難しいからです。
そこで、真横からの構図を選び、奥行き感を極力減らした工夫もあるでしょう。
しかし、その車の持つ意匠的な造形を描くには、斜めからのアングルになれる必要があります。
そこで着目したいのは、左右の前輪を繋ぐ軸と左右の後輪を繋ぐ軸が「並行」だということ。
また、フロントガラスの上下の辺も同様に「平面」でしょう。
このように、先ずは共通点をいかにして見つけるかがポイントです。
そして、風景画のような場合には、「基準点」や「基準線」を定めることで、他の点や線を描く際の目安となります。
例えば、前輪と後輪が並行に描いてあっても、見るかに四角形が潰れていれば、車としては見えません。
そこで、横線に対して縦線がどうなっているかの感覚が、四角形を描くことで身についたのです。
この基礎練習を省いたことで、こみちは今のような車を描けるまで時間が掛かりました。
靴を描くとすれば
靴の難しいポイントは、四角形ではうまく収まらない微妙なズレです。
こみちが描く際に使った基準線は、爪先からカカトに通るセンターラインです。
さらに、甲の部分で「靴の厚み」をガイドラインとして加えました。
さらに、くるぶし辺りにも丸みと同時に高さも書き込むことで、より靴らしさが現れてきます。
まとめ
趣味でイラストを描くなら、まずは方眼用紙などでいろんな直線を描けるようになりまし
ょう。
右利きなら縦線は上から、横線は左から描き始めるかも知れません。
しかし練習なので、下からとか右からとか、いろんな方法からできるだけ癖のない直線を引けるようになりましょう。
また、基準線や基準点を見つけるうえでも、実物を見て描くよりも、写真を見て描く方が格段に簡単です。
それは、実物の場合、いろんな角度から見えてしまうことで、基準線の基準点がズレやすいからです。
その点、写真なら構図も整っているので、描きやすいでしょう。
基準点からどちらに伸びた「線」なのかを先入観を捨てて追うことができれば、形に狂いは生じません。
また、別の基準点からの位置とも比べれば、より正確に描けるはずです。