アイドルグループのメンバーが『藝大』に合格したけれど
芸術とビジネスは直接的に無関係な位置にある。
例えば、『絵』も芸術家が筆を取って描くだけでは、ビジネスにならないだろう。
「絵では食っていけない」と言われる理由はそこにある。
しかし、よくよく考えるとゲーム配信をして、それがビジネス化できるのは、例えばyoutube のような視聴に対する収益化のシステムが背景にあるからだ。
つまり、「行動」と「収益」を結びつけられる仕組みがあるか否か。
同じように『絵』だったとしても、イラストになればイラストレーターとして稼ぐことができる。
美大のような専門的なデッサンなど学ばなくても、雰囲気のある絵や描く人にネームバリューがあれば、人は興味を持ってくれるだろう。
専門教育を受けた人ほど、「美術」という概念を重んじるだろうから、パースの狂った絵を見て批判したくなるのも分かる。
しかし、「正しい」ことが大切なのではなく、「役に立つ」ことに意味があるのは、ビジネス的な意味合いからだ。
純粋に美術として絵を描くなら、食っていけないことに悩むべきではない。
稼ぐ仕事を見つければいいし、実家が裕福ならそこに甘えて、美術を貫けばいいからだ。
好きな絵を続けながら、収益化も考えるなら、それこそニーズに応えるしか方法はないだろう。
以前、こみち自身は似顔絵師にはなれないという話をした。
例えばデフォルメされたイラストで、その腕前を評価されても、こみち自身はちょっと困惑してしまう。
なぜなら、顔の特徴をさらに誇張し、それで確かに似ている雰囲気を出すけれど、そこだけを描くことに躊躇いがあるからだ。
だったら、紙面で使うようなイラストを描く方が好きだ。
実際に、それができれば食っていけるだろう。
しかし、美術として絵を描く人は、きっと描きたいものが明確で、こみちが考えるような「表面的な造形」など描いていないだろう。
それはデッサンの段階で終わっているだろうし、カメラの性能に追随しても絵としての価値が見出せるとは思えない。
言い換えると、絵としては不正確でも、そこにどう味や雰囲気を盛り込み、描き手の想いを載せられるかがポイントだろう。
トレースするのはダメなのか?
以前も話題になったけれど、なぞり書きして下絵を作ることがダメだろうか。
今思うのは、デッサンをしていると、トレースするか否かは大きな問題ではなくて、技法や時短の領域だと思う。
1ミリもずれないようにトレースはしないし、欲しいポイントさえ目星が付けば、逆に細部までなぞることで持ち味を損なうこともある。
しかし、塗り絵的に描く場合、多くはデッサンに自信がない時や完コピを目的に行っているから、何もかもなぞって再現してしまう。
結果的に、元絵そっくりなモノができて、そこに描き手の見せ方や見せ方が感じられないこともある。
つまり、それは「絵」なのかという話だ。
だったら、コピー機で複写してもいいという話だろう。
細かい話はどうでもよくて、この雰囲気好きだなぁという景色が描けるなら、描き手としては十分だろう。
ただそれが、ビジネスに転換できるかは仕組み次第で、やはり描くことだけでは食っていけないのも当然だ。
今はそんな風に感じて描いていたりする。